(77)脳卒中 : 脳卒中には体のマヒを漢方薬で軽減。

Q

62歳の男性です。昨年脳卒中で倒れ、運動まひが残りました。運動機能が回復する漢方薬を教えて下さい。

A

脳卒中とは、脳の動脈の急激な血行障害により運動まひと意識障害を起こす病気の総称で、脳出血や脳軟化症などが含まれます。脳出血は脳の血管が破れることで起こり、脳軟化症は脳血栓や脳塞栓などが原因で起こります。
漢方医学では、脳出血も脳軟化症も治療法は同じですが、症状や体質、体力によって処方を使い分けます。
運動まひの回復を目標とした漢方薬には、まずがっちりとした肥満型で胸脇苦満があり、肩こりや息切れ、便秘のある方には大柴胡湯(ダイサイコトウ)が良いでしょう。
次に、体力は中程度で神経過敏でめまい、動悸、のぼせがある方には、柴胡加竜骨牡蠣湯(サイコカリュウコツボレイトウ)を用います。
虚弱体質で冷え性、胃腸の弱い方には、桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)が良いでしょう。
言語障害が伴う方には、続命湯(ゾクミョウトウ)を用います。
また、下半身に力がなく足腰の冷えやしびれがあり、夜中に何度もトイレに起きる方には八味丸(ハチミガン)が良いでしょう。
脳卒中になりやすいタイプは肥満型で高血圧の方なので、肥満や高血圧を漢方薬で改善して予防することが大切です。漢方の専門家にじっくり相談して、症状や体質に応じた漢方薬を正しく服用してください。
なお、肥満には耳のつぼのはり治療との併用が効果的です。