(63)胃下垂症 : 胃下垂には胃壁の細胞を刺激、活性化して丈夫に。

Q

32歳の女性です。食欲は普通にあるのですが、胃下垂でおなかの力が抜けてしまった感じがするのです。しかも冷え症でいつも疲れやすく、時には動悸やめまいがすることもあります。こんな体質を根本から治せる漢方薬を教えて下さい。

A

胃下垂症とは、胃の位置が正常よりも下がっている状態のことです。そのために食欲がないとか、胸焼けや吐き気がするなどの症状を訴えることが非常に多いです。
漢方医学では、胃下垂のことを胃のあたりに余分な水(胃内停水)がたまり、この重さのために胃が下がってしまうと考えられています。その余分な水分のために胃液が薄まり、胃が動いても消化の能率が上がらないこともあります。
そこで、漢方薬で胃の壁に刺激を与え、活性化させて胃そのものを丈夫にするのです。
ご質問のような方には、半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)のせんじ薬をお勧めします。
服用していくうちにおなかに力が付き、胃下垂症の方に特有の神経症状のめまい、不眠、思考力や記憶力の減退感、不安感、のぼせなども改善されていくでしょう。
その他にも人参湯(ニンジントウ)、加味逍遥散(カミショウヨウサン)、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)、安中散(アンチュウサン)、平胃散(ヘイイサン)などがあり、症状や大質によって使い分けます。
漢方の専門家にじっくり相談して、症状や体質に応じた漢方薬を正しく服用してください。