(42)腰痛 : 腰痛には臍下に精気を補い体質改善を。

Q

53歳の男性です。仕事柄重いものを持つことが多く、ぎっくり腰を何度も起こしています。最近は疲労したり、雨の降る前になると腰が重くなり、足まで痛くなっています。それに体質的に胃弱で、しかも冷え性もあり夜はトイレに何回も起きなければなりません。何か良い漢方薬はないのでしょうか。

A

腰痛の原因には次のような場合が考えられます。

(1) 内科的疾患:腎臓結石、腎炎、腎う炎、胆石症、糖尿病、内臓下垂など
(2) 婦人科的疾患:子宮後屈、子宮筋腫、卵管炎、更年期障害、産前・産後など
(3) 整形外科的疾患:脊髄分離症、脊髄すべり症、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症など

ご質問の患者さまは、漢方医学で言えば臍下不仁ヒになっており、腰に精気が不足して、下半身にまで影響しています。そのため、臍下を補うために八味丸(ハチミガン)を用いますが、胃弱のために地黄(ジオウ)の量を少なくする必要があります。また、芍甘黄辛附湯(シャクカンオウシンブトウ)を合方した煎じ薬がより効果を高めてくれるでしょう。
そのほか、腰痛によく用いる漢方薬には、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)、当帰建中湯(トウキケンチュウトウ)、帰耆建中湯(キギケンチュウトウ)、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)、大黄附子湯(ダイオウブシトウ)、苓姜朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)、大柴胡湯(ダイサイコトウ)、十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)、当帰四逆湯(トウキシギャクトウ)などがあります。体質や症状に応じて選用することが大切です。なお、はり・灸治療との併用も効果的です。