(36)腎臓病 : 腎臓病には症状・体質に応じ加味する薬が重要。

Q

8歳になる子供のことですが、ある晩風邪をひいて熱を出し、その後にまぶたが腫れて足や顔がむくんできました。病院で診ていただいて急性腎炎と診断されました。塩分が制限されるうえ、尿も思うように出ません。漢方で体質改善をしたいです。

A

急性腎炎は子供がかかりやすく、のど風邪や扁桃腺のあとに続いて起こりやすいものです。そのほかに肺炎・中耳炎・副鼻腔炎などからも起こることがあります。
悪化すれば腎臓が萎縮し、心臓も衰弱してしまい、そのまま放置すれば尿毒症に侵されます。ネフローゼも腎臓症といわれ、漢方医学で改善できます。
まず、初期でむくみと尿の量が少なく、のどの渇きがある人には越婢加苓朮湯(エッピカレイジュツトウ)が良いでしょう。しかし、胃弱や貧血の人にはよくありません。
むくみがひどく頭痛がしたり、呼吸が早くなったり、急性尿毒症になった人には大青竜湯(ダイセイリュウトウ)を用います。また、むくみは無いものの食欲不振や心臓の圧迫する人には小柴胡湯(ショウサイコトウ)に黄蓮(オウレン)、茯苓(ブクリョウ)を加えて服用します。
慢性腎炎になりタンパク尿が出て、夜間よくトイレに起き、高血圧を伴う場合は八味丸(ハチミガン)に釣藤(チョウトウ)や黄柏(オウバク)を加えて用います。同じく慢性腎炎で最低血圧が高く、腎硬化症の傾向のある方には七物降下湯(シチモツコウカトウ)がよいでしょう。
そのほか、分消湯(ブンショウトウ)や木防已湯(モクボウイトウ)、五苓散(ゴレイサン)、茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)などがあります。大切なことは、漢方の専門医に病状や体質をじっくり相談して漢方を決めることです。