(22)蓄膿症 : 蓄膿症には症状・体質により加える薬が重要。

Q

高校2年生の男子です。2年前から、鼻から青い膿のような汁がたくさん出て鼻が詰まり、頭が痛くなったり、記憶力や思考力が落ち勉強にも差し支えるようになって悩んでいます。友人が漢方薬で良くなったと聞きました。良い薬を教えて下さい。

A

この病気は漢方では脳漏といって、鼻腔の周囲の骨の中にある大小の空洞に膿がたまるもので、感冒や鼻炎が原因となります。そのまま放置すると慢性化する頑固な病気です。
慢性に移行したものには、葛根湯(カッコントウ)に川芎(センキュウ)、黄芩(オウゴン)、桔梗(キキョウ)、辛夷(シンイ)を加えます。それに口渇があれば、薬用石膏を加えます。胃弱の方は、この処方に小半夏湯(ショウハンゲトウ)を合方して用います。鼻茸や肥厚性鼻炎の手術をしても、再発するという方にも有効です。
体力があり強壮な方で、みぞおちや脇まで硬く張るものには、大柴胡加桔石湯(タイサイコカキセキトウ)が良いでしょう。また、体力的に普通以下の方には、小柴胡加桔石湯(ショウサイコカキセキトウ)に苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)を合方したせんじ薬が効果的です。
この他の処方として、荊芥連翹加辛夷(ケイガイレンギョウカシンイ)、防風通聖散加辛夷(ボウフウツウショウサンカシンイ)、四逆散加茯苓辛夷薏苡仁(シギャクサンカブクリョウコブシヨクイニン)、辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)などがあります。大切な事は、症状や体質に応じて的確な漢方薬を選ぶことです。鍼灸治療との併用も効果的です。