(20)不眠症 : 不眠症には体のアンバランスを調節して回復を。

Q

50歳の主婦です。半年前から寝つきが悪く、やっと眠っても途中で目が覚めるといった具合で、睡眠不足が続き疲労が取れずに困っています。睡眠薬を飲むのが癖になりそうで怖いです。良い漢方薬はないでしょうか。

A

漢方では、西洋薬の睡眠剤に相当するものはありませんが、不眠の原因となっている精神的、肉体的アンバランスを調整することで回復することができます。
まず、がっちりとした体格で、肩こりや頭痛、めまい、耳鳴り、動機があり、さらに神経の過敏な方には、柴胡加竜骨牡蠣湯(サイコカリュウコツボレイトウ)を用います。のぼせ症でイライラして眠れない方には、黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)か三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)を体質や症状に応じて選用します。
また、胃炎でみぞおちがつかえて腹が鳴り、眠りの浅い方には、甘草瀉心湯(カンゾウシャシントウ)が良いでしょう。虚弱な方で心身共に疲れやすく、夜間眠れないで昼間ウトウトしているという場合なら、酸棗仁湯(サンソウニントウ)を用います。さらに、手足がほてり、寝付けない方には三物黄芩湯(サンモツオウゴントウ)を用います。
そのほかに、加味帰脾湯(カミキヒトウ)や桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)、加味逍遥散(カミショウヨウサン)、柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)などがあり、体質や症状に応じて薬方を決めて使います。なお、鍼灸治療の併用も効果的です。