(19)前立腺肥大 : 前立腺肥大には下半身の血行を改善して老化を防ぐ。

Q

60歳の男性です。1年前から頻尿で困っていたので医者に診てもらったところ、前立腺肥大と言われました。その後、夜中にもトイレに起きるようになり、小便の出が悪く勢いもありません。漢方薬を飲んで治っている人がいると聞きました。適切な薬を教えてください。

A

前立腺肥大は膀胱のまわりの精液をつくる前立腺が大きくなり、尿道が圧迫されて、尿の出が悪くなったり、途中で途切れるようになったり、勢いがなくなったり、夜間の排尿が多くなったりします。
また、それにつれて尿道炎や膀胱炎を併発することもあります。放置しておくと、尿道がつまって排尿不能となり、尿毒症を起こし外科的手術を必要とするようになります。
漢方医学では、前立腺肥大の原因を下焦(下半身)の新陳代謝の低下に伴う、血行の停滞だと考えます。
まず疲れやすく口が渇き、排尿困難・残尿感のある方には八味丸(ハチミガン)が良いでしょう。胃腸の弱い方には地黄(ジオウ)の量を減らして用います。さらに騰竜湯(トウリュウトウ)を合方したせんじ薬だともっと効果的ですが、体質と症状によって大黄(ダオウ)と芒硝(ボウショウ)を取り除いて用います。
この他に、大黄牡丹皮湯(ダイオウボタンピトウ)、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)、桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)などがありますが、症状に合わせた薬を3ヶ月から半年くらいを目安に服用することが必要です。また、はり・灸治療の併用もいっそう効果的といえます。