(12)自律神経失調症 : 自律神経失調症には全身の不定愁訴を漢方薬で体質改善。

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41歳の主婦です。数年前から夜も眠れないほど疲労がひどく、昼間は家事もできないくらいの不安感に襲われます。時には、頭痛やめまい、肩こり、腰痛などが起こり、困っています。病院では自律神経失調症といわれて治療していますがなかなか回復しません。漢方薬で、根本的に体質改善する方法があるのでしょうか。

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自律神経失調症は主に内臓器官や血管壁の運動、またはホルモンなどの内分泌や唾液・消化液などの外分泌をつかさどる神経の乱れが原因です。その症状は全身にわたります。

漢方としては、まず精神的に不安感があり、肩こりや頭重、冷え性などのある人には加味逍遙散(カミショウヨウサン)がよいでしょう。めまいや貧血、腹痛、腰や足の冷え、頭痛、生理不順を伴う人には当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)を用います。

気分がふさがりがちで、のどに何かがひっかかった様な異物感を伴う場合には半夏厚朴湯(ハンゲコウボウトウ)がよいでしょう。さらに胸や脇腹が張って苦しく、食欲不振という方なら小柴胡湯(ショウサイコトウ)を合方しなければなりません。

また、みぞおちにつかえがあり、のぼせてイライラしてり、不眠や目の充血、顔が赤いなどの症状があれば黄連解毒丸(オウレンゲドクガン)を用います。下痢をしやすい人には大黄(ダイオウ)を抜いて用いなければなりません。そして、のぼせやめまいが強い場合は女神散(ニョシンサン)を用いると良いでしょう。

そのほかに、抑肝散加陳皮半夏(ヨッカンサンカチンピハンゲ)、柴胡竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)、甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)などがあります。漢方の専門家にじっくり相談して、症状や体質に応じた漢方薬を正しく服用してください。なお、はり・灸治療の併用もより効果的といえるでしょう。