(6)ヒザの関節痛 : 関節痛には過剰な湿気を除去し血液の循環改善を。

Q

40歳の会社員です。2年前に左ヒザの関節が腫れて痛み、水がたまってきたので、数回水を取ってもらいました。3ヶ月後には、右ヒザの関節も腫れ、何回も水を取ってもらいましたが、すぐに腫れて座ることができなくなるほど痛みだします。特に天気の悪い日にはひどくなり、仕事にも差しつかえて困っています。何か良い漢方薬はないでしょうか。

A

漢方ではご質問のような関節炎やリウマチなどの病気を痺(ひ)証といい、風痺、寒痺、湿痺のランクがあります。
天気が悪く、湿気と冷えによって悪化する場合は寒痺・湿痺症です。これは体内の過剰な湿気(水分)を取り除き、血液の循環を改善することが、肝心です。
水太りで疲れやすく、汗をかきやすい人、尿の出が少なく腰から下にむくみがある人、そしてヒザが腫れて痛み、立ったり座ったりすることが不自由な人。このような方には防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)という漢方薬を用います。疼痛の具合や老化の進み方で、麻黄(マオウ)や朝鮮人参(チョウセンニンジン)、附子(ブシ)を加味するとさらに効果があるようです。また、足が冷え背中に寒気を感じ、尿の出が少ない人、立ち上がるのが困難なほどヒザがひどく痛む人には甘草附子湯(カンゾウブシトウ)を用います。

これらの漢方で治らない方には、越婢湯(エッピトウ)を用い、症状に応じ茯苓(ブクリョウ)・ホ・附子(ブシ)を加味します。ほかにも、桂枝二越婢一湯(ケイシニエッピイチトウ)や薏苡仁湯(ヨクイニントウ)や甲字湯(コウジトウ)などの漢方薬があります。

これらは、体質や症状に応じて漢方薬を加味することが重要なポイントです。放っておけばヒザの変形が進行し歩行も困難になりかねないので、早めの対処が必要です。また、はり・灸治療の併用もいっそう効果的といえます。