(1)肝臓病 : 肝臓病には体質症状に合わせて薬味を加減して調合。

Q

53歳の主人のことでうかがいます。3年前に急性肝炎で入院し、その後は慢性肝炎に移行しています。食事をはじめ、いろいろと養生させていますが検査数値が下がらず、肝硬変になるのを心配しています。漢方薬で体質改善するしかないと思っているのですが…

A

慢性肝炎は急性肝炎が原因で慢性化したものとはいえ、病状の推移によっては肝硬変に進行することがあります。
黄疸が現れて吐き気や胸内苦悶を伴う場合は、茵蔯嵩湯(インチンコウトウ)や茵蔯五苓散(インチンゴレイサン)が良く、便秘がちの方には大黄苓硝湯(ダイオウレイショウトウ)が良いでしょう。一般的なアルコール性肝炎や薬物性の肝炎であれば小柴胡湯(ショウサイコトウ)や大柴胡湯(ダイサイコトウ)に茵蔯(インチン)や山梔子(サンシシ)を加えて用います。

また、ビールス性肝炎で慢性指標のZZTやTTTの異常のない肝炎であれば、小柴胡湯(ショウサイコトウ)に当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)や茵蔯五苓散(インチンゴレイサン)の方が良いでしょう。

そのほかに、人参湯(ニンジントウ)や真武湯(シンブトウ)、柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)、小建中湯(ショウケンチュウトウ)、四逆湯(シギャクトウ)、黄連解毒(オウレンゲドク)などの漢方薬があります。いずれにしても大切なことは、病人の体質や症状を漢方専門の薬局でじっくり相談して薬を決めることです。それから、せんじ薬の方がはるかに効果的といえますが、時々飲むのを忘れるようでは効果が期待できませんので忘れやすい人にはエキス剤が便利です。
なお、はり灸治療の併用も、体質改善の早道といえます。